地域にサービスを届ける
小規模作業所から出発したネバーランドは、地域の店舗を展開する形で障害のある人々の働く場を創ってきました。やがて「働く場」だけでは利用者さんのニーズに応えていないことに気づき、障害が重い方でも目が輝くことのできる場所を…と社会福祉法人シンフォニーを設立し、デイサービスセンターと通所授産施設の合築施設を平成11年に開所しました。
3ヶ月後、ふと気付きました。「通所している人にはサービスを提供できるが通ってこない人には福祉サービスが届かない」。地域で暮らすことを大事にしているにも関わらず、施設の中でしかサービスの提供ができないことにやっと気付いたのです。地域の暮らしを考えれば、通所サービスを利用している時間よりも自宅にいる時間のほうが長く、朝や夜、土日などの休日などは福祉サービスによる支援が得られない状況にあることを改めて知りました。
そこで、唯一地域に届けることができるサービスとして考えたのが「ホームヘルプサービス」でした。すぐに準備をしてヘルパーステーションを開所しましたが、その頃から幼い子どもさんを連れたお母さんが度々来所することがあり障害のある子どもが通う保育園や幼稚園が少なく、受け入れてもらえないと聞きました。そこで児童デイサービスの実施を申請したのですが、当初、先行していた県内の事業所のほとんどが母子通園型で2時間程度の利用でした。これでは家族の負担も大きく、何よりも就学前に必要な母子分離ができないことを危惧しました。そこで給食を用意し子どもさんだけを預かることでお母さんへの負担軽減も図ったことにより、やがて母子分離型が増えていきました。
そうしていると、さらに相談が増えて来ました。電話だけではなく実際に動かなければ相談業務は務まりません。まずは電話をかけて頂けるような相談支援事業を開始しました。まだまだ、このほかにも地域での安心を支えて行くためには様々な支援サービスが必要です。
私たちは「無いものは創る」を実行してきましたが、中には「短期宿泊」(プリステイ)のように,私たちが始めた事業が認められ、やがて大分市独自の地域生活支援事業の一つとして公的サービスに発展したものもあります。
地域で安心して暮らし続けるためには、ニーズに合った環境整備や必要な福祉サービスの充実は欠かせません。
このように、はじめから必要な福祉サービスがあったわけではありません。
「安心」は、何もしなくてそこにある物ではなく、まさにその地域生活に合ったかたちで自ら創りだすことで得られるものだと感じております。
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